〔文芸〕 草間彌生外国文学エッセイ詩歌評論漫画

エリザベス・ボウエン 作家の生涯

エリザベス・ボウエンパトリシア・ロレンス 著
太田良子 訳

2024.10.2刊
A5判上製338頁 3520円(税込)
ISBN978-4-88059-443-9 C0098


エリザベス・ボウエン(1899~1973)はアイルランドに生まれ、イングランドによる植民地支配から独立する祖国を見守った作家である。作家ボウエンを誕生させたのはアイルランドとイングランド、そして二度の世界大戦であり、二つの祖国を取り囲む歴史は彼女のフィクションの源泉といえよう。本書では、戦中を生き抜いた女性作家ボウエンの複雑な一面を描出する。幼少期より発症した吃音、広壮なボウエンズ・コートでの生活、第二次大戦中はアイルランドに渡り、中立策を取ったアイルランドの内情をチャーチルに報告、夫アランとの結婚生活はボウエンにとって安定した日々を意味したが、複数の婚外関係が存在した……。ヴァージニア・ウルフ、メイ・サートンをはじめとする文学上の交友関係も詳述され、現実と虚構を豊かに行き来した作家の姿を浮かび上がらせる。ボウエンの生涯と作品を深く読み込み、難解とされる文体の謎にも迫る濃密な文芸批評。

著者:パトリシア・ロレンス
米国ニューヨーク市立大学名誉教授。越境するモダニズム、ブルームズベリー・グループ、女性作家について幅広く執筆。著書にThe Reading of Silence: Virginia Woolf in the English Tradition(沈黙の読書:イギリスの伝統におけるヴァージニア・ウルフ)、Lily Briscoe's Chinese Eyes; Bloomsbury, Modernism and China (リリー・ブリスコーの中国の眼:ブルームズベリー・グループ・モダニズム・中国)、 Julian Bell: The Violent Pacifist(ジュリアン・ベル:暴力的な平和主義者)などがある。

【目次】



マルベリーツリー

マルベリーツリーエリザベス・ボウエン 著
ハーマイオニー・リー 編
甘濃夏実・垣口由香・小室龍之介・米山優子・渡部佐代子 訳

2024.4.5刊
A5判上製400頁 4180円(税込)
ISBN978-4-88059-442-2 C0098


エリザベス・ボウエンは、その小説と短編で名を知られる一方、膨大なエッセイ、序文、書評を執筆していた。熱心な手紙の書き手でもあり、しばしばラジオの話し手となり、アメリカの大学での創作クラスへ定期的に訪問講演もしていた。それらノンフィクションの文章を編纂した本書は、ボウエンの小説と短編を読み解く最良の手引きとなろう。同時代の作家たちを照らし、ボウエン自身の手法、主題の選択、そして「ひらめきの源」を明らかにする。

著者:エリザベス・ボウエン
1899年、アイルランドのダブリンに生まれる。7歳でイングランドに渡り、以後、ロンドンと、アイルランド南部のコーク州にある邸宅(ボウエンズ・コート)を行き来して過ごした。1923年に短編集『出会い』を刊行。27年最初の長編小説『ホテル』を書き上げる。生涯で10編の長編小説と、約90の短編小説を執筆。48年に大英帝国勲章勲三等(CBE)、65年に王立文学協会より文学勲爵士を受章。最後の長編小説『エヴァ・トラウト』は70年のブッカー賞候補となる。1973年ロンドンに没する。

編者:ハーマイオニー・リー
オックスフォード大学名誉教授。伝記作家、批評家。ヴァージニア・ウルフ (1996年刊)、イーディス・ウォートン(2006年刊)、ペネロープ・フィッツジェラルド(13年刊)、トム・ストッパード(20年刊)らの伝記を執筆。伝記作家国際団体賞(The BIO Award、2020年)ほか受賞多数。英語文学への功績により2003年に大英帝国勲章勲三等(CBE)、13年に同勲二等(DBE)、23 年に同勲一等(GBE)を受章。

★「図書新聞」(2024.7.27)に書評掲載。

最後の九月

最後の九月エリザベス・ボウエン/
太田良子 訳

2016.9.25刊
四六判上製384頁 2420円(税込)
ISBN978-4-88059-398-2 C0097


1920年、アイルランド独立戦争のさなか、広大な森に囲まれた地方地主の邸宅(ビッグハウス)においては、騒乱をよそに、土着のアイルランド人も、イギリス軍の将校も出入りする、優雅で奇妙な生活が営まれていた。 そんな邸宅のひとつ〈ダニエルズタウン〉に身を寄せる19歳のロイス。そこで体験するテニスパーティやダンス、イギリス軍将校との恋……。彼女は無垢を脱して成熟し、自由な女になることを夢見ていた。しかし、紛争の複雑な現実は、それを許さなかった……。
20世紀英国文壇の重鎮がアングロ-アイリッシュとしての自身の体験を色濃く投影した第二長編。

★「図書新聞」(2017.1.14)に書評掲載。
★「ミスター・パートナー12月号」にて紹介記事掲載。


ヘンリー・ソロー全日記 1851年

ソロー日記1851ヘンリー・ソロー/
山口 晃 訳

2020.12.25刊
A5判上製336頁 2750円(税込)
ISBN978-4-88059-421-7 C0398


24年間のあいだに書かれた200万語からなる日記は、なぜ文学作品と呼べるのか──。研究者の間で「森の生活」以上の重要作とされ、作者が自身で選んだ日記という文章表現の形態。
内容見本

著者:ヘンリー・ソロー
作家、思想家、博物学者。1817年米国マサチューセッツ州コンコード市に生まれる。ハーバード大学卒業後、家業の鉛筆製造業、教師、測量の仕事などに従事したが生涯を通じて定職にはつかなかった。ウォールデン池畔の森の中に丸太小屋を建て、2年2か月の間、自給自足の生活を送る。その記録をまとめた『ウォールデン 森の生活』(1854年)が代表作となった。1862年、結核により死去(44歳)。コンコードのスリーピー・ホロー墓地に埋葬されている。

訳者:山口 晃(やまぐち・あきら)
1945年埼玉県本庄市に生まれる。訳書に、ソルト「ヘンリー・ソローの暮らし」(風行社、2001年)、ソロー「コンコード川とメリマック川の一週間」(而立書房、2010年)、ブレーク編「ソロー日記 春夏秋冬」(全4巻、彩流社、2013-8年)ほか。

コンコード川とメリマック川の一週間

コンコード川とメリマック川の一週間ヘンリー・ソロー/
山口晃 訳

2010.1.25刊
A5判上製504頁 5500円(税込)
ISBN978-4-88059-354-8 C0097

約160年前の北アメリカで、ヨーロッパからの植民者の子孫であるソローは、歴史に耳を澄まし、社会に瞳を凝らしながら、自然と共存する生活を営んでいた。これは、そのソローからのかけがえのない贈り物である。

シャドウ・ラインズ 語られなかったインド

シャドウ・ラインズ 語られなかったインドアミタヴ・ゴーシュ/
井坂理穂 訳

2004.5.25刊
四六判上製440頁 2750円(税込)
ISBN978-4-88059-314-2 C0097

カルカッタ/ロンドン/ダッカの三つの都市と三つの世代を引き裂き結びあわせる、かつて英国の植民地であったインドの中流階級一族の物語である。21世紀英語文学の旗手ゴーシュが繊細に抽出したインド社会の深層が見える。



待ちながら

待ちながらルイ・ズィンク/
近藤紀子 訳

2006.7.25刊
四六判上製136頁 1650円(税込)
ISBN978-4-88059-328-9 C0097

大西洋の孤島アソーレス諸島はかつて捕鯨の基地であった。そこでは、島民たちが昔ながらの捕鯨をしていると聞いた主人公はリスボンから出かける。カメラマンのアナと一緒に。現代ポルトガル文学の旗手ズィンクの本邦初訳。



夜間の爆走 ギュスターヴ・ドレの挿絵21点に基づく

夜間の爆走 ギュスターヴ・ドレの挿絵21点に基づくヴァルター・ミョルス/
谷口伊兵衛 訳

2014.7.25刊
A5判上製208頁 3300円(税込)
ISBN978-4-88059-381-4 C0098

ドイツで人気の作家・漫画家が描きだす、ダークなメタファンタジー。『老水夫の歌』『狂乱のオルランド』『大鴉』『ドン・キホーテ』『失楽園』『聖書』『妖怪伝説』などドレによって描かれた世界に、若き日のドレが迷い込む。



オートラント綺譚

オートラント綺譚ロベルト・コトロネーオ/
谷口伊兵衛 訳

2013.10.25刊
四六判並製248頁 1650円(税込)
ISBN978-4-88059-379-1 C0097

1480年8月12日、イスラム教徒のトルコ民族がイタリア南部のオートラントを侵攻し、無差別の大量虐殺を行う。以後、オートラントはキリスト教殉教者の町となる。そして現代、オランダからひとりの若い女性がやってくる。



紋章と恋愛談義

紋章と恋愛談義L・ドメニキ/谷口勇 訳

1996.2.25刊
四六判上製144頁 2090円(税込)
ISBN978-4-88059-212-1 C0070

(鼎談者)ひげのポンペーオ/アルノルド・アルリエーノ/ロドヴィーコ・ドメニキ。イコノロジーの知られざる古典の発掘。西洋精神の底流を探る格好の本。イタリア語原文をも収録した。



リスボンの最後のカバリスト

リスボンの最後のカバリストリチャード・ジムラー/
木村光二 訳

2009.1.25刊
A5判上製440頁 5500円(税込)
ISBN978-4-88059-346-3 C0097

1506年のリスボンで、新キリスト教徒(改宗したユダヤ教徒)がキリスト教徒に襲われる事件が発生し、3日間でユダヤ人2000人が虐殺された。本書は、19カ国語に翻訳され、23カ国で出版されている。1999年ヘロドトス賞受賞。



フランチェスコ・コロンナ「ポリフィーロの夢」

フランチェスコ・コロンナ「ポリフィーロの夢」シャルル・ノディエ 作/
谷口伊兵衛 訳

2015.7.25刊
A5判上製112頁 2640円(税込)
ISBN978-4-88059-388-3 C0097

フランチェスコ・コロンナが美女ポーリアに寄せる禁断の恋物語『愛の戦いの夢』(「ポリフィーロの夢」として人口に膾炙している)の書誌的な逸話を、T・W・コッチの(私家版)英訳を底本にして新訳を試みたもの。さらに『ヒュプネロトマキア』の梗概をも付した。愛書家で知られたCh.ノディエを代表するボルヘス風の秀作。



現代版 フラメンカ物語 〔アモルとプシュケ叢書〕

現代版 フラメンカ物語ジョルジュ・ベグー/
谷口伊兵衛 訳

2012.8.25刊
A5判上製200頁 2640円(税込)
ISBN978-4-88059-373-9 C0097

1250年(?)作、作者不詳、教会による700年の検閲で封鎖されてきた、オック語8095行の韻文を、現代フランス語で散文化する。構成・登場人物を大胆に衣替えし、その上散逸した原典では現存しない「結び」を創造した奇書である。



アモルとプシュケ 〔アモルとプシュケ叢書〕

アモルとプシュケアプレイウス 原作、M・クリンガー 画/
谷口勇 訳

1992.12.25刊
A5判上製192頁挿絵入り 2640円(税込)
ISBN978-4-88059-166-7 C0098

ギリシャの美少女プシュケとローマの愛神アモルとの結婚を描いた、西洋では最もポピュラーな物語の一つ。ユング派心理学の源泉であり、ロダンは彫刻にしている。戸澤姑射訳述「愛と心」併録。



イタリア・ルネサンス 愛の風景 〔アモルとプシュケ叢書〕

イタリア・ルネサンス 愛の風景谷口勇、G・ピアッザ 訳

1991.10.10刊
A5判上製208頁口絵10頁 2640円(税込)
ISBN978-4-88059-155-1 C0098

ダンテの詩魂を覚醒させたベアトリーチェ、ラファエッロの創作を揺り動かしたフォルナリーナの献身、「ロメオとジュリエット」の原型の物語等、ボッカッチョの手法を擬して、10人の作者が物語る10の恋愛模様。



〔文芸〕 草間彌生外国文学エッセイ詩歌評論漫画